insect_bite
I have been bitten by an insect, is it okay to leave it alone? ?
2024年7月2日
松谷医院 松谷良清
「虫刺されなんて、たいしたことはない」と思っている人も多いのではないのでしょうか。
また、適当な処置をしている場合も見かけます。
虫刺されにはいろいろな種類があり、その症状もさまざまです。
そこで今回「虫刺され」を整理して考えてみたいと思います。
虫に刺されることで起こる皮膚炎の総称です。刺される以外にも、虫に血を吸われる、咬まれる、接触することによる皮膚炎も、虫刺されに含まれます。
痛み、発赤、熱感、腫れ、かゆみ、水ぶくれなどです。このうち痛みは、虫に咬まれたり、刺されるという物理的な刺激や、虫の唾液や毒などが皮膚内に注入される際に起こります。一方、赤みやかゆみ、腫れなどは、注入された唾液や毒に対して起こるアレルギー反応です。このアレルギー反応には、虫刺され直後にみられる「即時型反応」と、数日後に現れる「遅発型反応」とがあります。さらに、虫の種類や刺された人の体質によっては、アレルギー反応によって気分が悪くなる、お腹が痛くなるなどの全身症状が現れることもありますし、もっとひどい場合には、アナフィラキシー症状(意識障害やショック症状など)が起こることもあります。このように虫刺されは、時に重篤な症状を引き起こすこともあり、決して侮ることはできません。
血を吸う |
蚊、アブ、ブユ(ブト、ブヨ)、ノミ、ダニ |
---|---|
指す虫 |
ハチ |
咬む |
ムカデ |
接触する |
有毒の毛虫,やけど虫(アオバアリガタハネカクシ) |
血を吸う:蚊、アブ、ブユ(ブト、ブヨ)、ノミ、ダニ
刺す虫:ハチ
咬む:ムカデ
接触する:有毒の毛虫,やけど虫(アオバアリガタハネカクシ)
国内で見られる蚊は約130種類、人を刺すのは、おもにヒトスジシマカ(ヤブカ)、アカイエカ、チカイエカの3種類です。
種類によって生息場所が異なりますが、屋外だけでなく、室内でも刺されることがあります。
蚊は吸血する際に唾液などを注入します。こうした物質に対する即時型反応として、刺された直後にかゆみや腫れが現れますが、1~2時間後には消失します。
また、刺された次の日になると、遅発型反応として再び刺された場所にかゆみが出てたり、赤みや腫れが生じることがあります。
このような症状の現れ方は年齢によって違いがあります。個人差はありますが、たとえば小さな子どもは遅発型反応しか現れませんが、幼児期以降では両方の反応が現れるようになります。
さらに成長し、青年期以降になると即時型反応だけが現れるようになり、高齢になると、どちらの反応も現れないこともあります。
なお、蚊に刺された場所の皮膚症状に加えて発熱やリンパ節の腫れといった全身症状がみられる場合には、「蚊刺過敏症(ぶんしかびんしょう)」の可能性があります。別名「蚊アレルギー」とも呼ばれていて、くり返し症状が現れることもあるため、皮膚科の受診を勧めます。
体調約1~5mmのコバエのような見た目のブユ。蚊と同じように、ヒトの血を吸います。
ブユの特徴として、刺された直後にはかゆみなどの症状が起こらないことがあげられます。
症状が出始めるのは半日くらい経った頃。次第に赤み、腫れ、かゆみの症状が強くなっていきます。
腕や脛のあたりを刺されることが多く、赤みやしこりがしばらく残ることもあります。
キャンプ場や川沿いなどで刺されることが多いので、注意が必要です。
アブもヒトの血を吸う虫ですが、蚊とは違って皮膚を咬み、そこから出てきた血を吸うという特徴があります。
そのため、刺された際には痛みが伴い、しばらくしてから腫れやかゆみといった症状が現れます。
ノミによる虫刺されの多くは「ネコノミ」によるものといわれています。
公園や庭など屋外で刺される場合もありますが、犬や猫に寄生することが多いので、こうしたペットを飼っている家では室内でも刺されるリスクがあります。
ノミに刺されても直後には症状はなく、数日経ってから赤みやブツブツといった症状が現れるようになります。
室内でダニに刺される原因の多くはイエダニです。
イエダニはネズミに寄生するため、ネズミが生息する古い家などにはイエダニが出やすいといわれています。
夜間の睡眠中に刺されることが多く、太ももの内側、脇腹や下腹部が狙われます。刺されると、赤みやブツブツなどの皮膚症状が現れます。
また、屋外ではマダニに注意が必要です。マダニは野生動物が多い場所に生息しますが、畑や人家の裏庭などで見かけることもあります。
太もも、脇腹、陰部などにかみつき、赤みや腫れなどの症状が現れる場合もありますが、症状が現れないことも珍しくありません。
マダニをはじめダニ類の多くは、数日にわたって皮膚にくっつき吸血することがあります。
皮膚にくっついているのを見たらつい取りたくなってしまうと思いますが、無理やり取り除いたり、殺すことは、危険です。
なぜならマダニの病原体(ウイルスなど)が体内に入ってしまったり、マダニの口が皮膚内に残ることがあるからです。
吸血中のマダニはさわらずに、そのまま医療機関へ行って処置を受けましょう。
下記は当院マダニを皮膚から牙を残すことなく、取り除く処置画像
病原体を持ったマダニに咬まれた場合には重症熱性血小板減少症候群(SFTS)を発症する可能性もあります。
マダニが生息しているような場所に行った数日後に発熱やおう吐など、何らかの体調不良がある場合には、必ず病院を受診してください。
人を刺すハチはおもに、ミツバチとスズメバチ、アシナガバチなどがあります。
ハチに刺されると強い痛みや灼熱感とともに、皮膚が赤く腫れあがり、悪化すると出血したり、水ぶくれや潰瘍ができることもあります。
ただし、こうした症状は1日もすればよくなることがほとんどです。
それよりも恐ろしいのが、強いアレルギー反応が起こるケースです。
これはハチ毒に対する抗体を持った人にだけ現れるものです。
また、初めて刺された際にアレルギー反応が起こることはありません。
けれども、1度刺されて体内に抗体が作られると、2度目以降に刺されたときにアレルギー反応が現れるようになります。
多くの場合、刺されてから30分以内に全身にかゆみやじんましん、吐き気、胃の痛み、むくみなどが現れ、ひどい場合にはアナフィラキシーショックを起こして意識がなくなったり、呼吸困難に陥ることもあります。
こうした症状が現れた際には、救急車を呼ぶことが求められます。( 蜂アレルギーに対してエピペンの携帯も考慮 )
ムカデは牙を使って皮膚を咬み、そこに毒成分を注入します。
ムカデに咬まれると、その直後から強い痛みや腫れ、赤みなどの症状が現れます。
また、リンパ節が腫れるほか、咬まれた箇所から身体の中心部にむかって線状に症状が出ることもあります。
さらに、ハチと同様にアナフィラキシーショックを起こすこともあり、注意が必要です。
毛虫の中には、針やとげに毒を有している種類がいます。たとえば、ドクガ、チャドクガ、イラガ、ヒロヘリアオイラガの幼虫などです。
中でも、チャドクガの幼虫は椿やツツジといった庭木などに生息しています。
そのため、庭作業の際にふれてしまい発症することがあります。
これらの毛虫にふれると、じんましんのような症状や、かゆみ、赤いブツブツが現れます。
また、ヒロヘリアオイラガに刺されると、激痛をともなうこともあります。
このような毛虫に接触することで起こる皮膚炎は「毛虫皮膚炎」と呼ばれています。
毛虫にふれてしまった場合は、絆創膏などの粘着性のあるテープを使って皮膚についた針をとるようにしましょう。
毛虫の中には、針やとげに毒を有している種類がいます。たとえば、ドクガ、チャドクガ、イラガ、ヒロヘリアオイラガの幼虫などです。
中でも、チャドクガの幼虫は椿やツツジといった庭木などに生息しています。
そのため、庭作業の際にふれてしまい発症することがあります。
これらの毛虫にふれると、じんましんのような症状や、かゆみ、赤いブツブツが現れます。
また、ヒロヘリアオイラガに刺されると、激痛をともなうこともあります。
このような毛虫に接触することで起こる皮膚炎は「毛虫皮膚炎」と呼ばれています。
毛虫にふれてしまった場合は、絆創膏などの粘着性のあるテープを使って皮膚についた針をとるようにしましょう。
1.虫の特徴を知って虫刺され予防に取り組むことが重要
2.虫刺されは、基本的には自然によくなることが多いが、刺された場合はまず刺された部分を流水で洗う。発赤部を冷やす。刺された場所の炎症が強い場合や全身症状が出ている場合、症状が改善しなかったり、悪化する場合には、皮膚科、内科などを受診すること。